観測制民主主義④ 政策形成工程を観測する ――その政策は、どのように作られたのか 「翻訳」の次に、何が起きているのか

観測制民主主義

こんにちは、\イッカク です。/

今回の記事は観測制民主主義シリーズの4回目。
(設計についてAIアトラッシとの交信)

政策形成工程を観測する
――その政策は、
どのように作られたのか

「翻訳」の次に、何が起きているのか

観測制民主主義③では、「翻訳する民主主義」について考えた。
国民の現実を観測し、意味を抽出し、それを政治が扱える言葉へ翻訳する。
そして政策として出力し、その結果を再び観測する。
しかし、ここで一つの問題が残る。

翻訳された国民の意思は、
その後、どのように政策へ変換されているのだろうか。

誰が政策を設計したのか。
何を根拠にしたのか。
どんな選択肢が検討されたのか。
なぜ、その案が採用されたのか。
なぜ別の案は採用されなかったのか。
ここから、観測制民主主義は次の段階へ進む。
「政策が作られる工程」そのものを観測するのである。

完成した法案だけでは、政策は見えない

国会に法案が提出され、審議され、採決される。
もちろん、国会審議は重要である。
しかし、法案が国会に姿を現したときには、
すでに政策の大部分が設計されている場合がある。

つまり、完成品としての法案だけを見ていては、
そこに至るまでの「織り工程」が見えない。
観測制民主主義では、この工程そのものを観測対象にする。

政策は、完成品だけを見るのではなく、製造工程まで観測する。

政策形成の「織り工程」

一つの政策が作られるまでには、さまざまな工程がある。
社会の問題が認識される。

【問題設定】

【情報・データの収集】

【データの選択】

【専門家・有識者の選定】

【意見・報告書】

【政策案の作成】

【費用・効果・副作用の検討】

【行政内部での調整】

【政治判断】

【法案化】

【国会審議】

【政策として出力】
これが政策形成の「織り工程」である。
国民が観測すべきなのは、最後の法案だけではない。

その前段階で、何が選ばれ、何が捨てられ、
何が判断材料になったのかである。

「有識者の意見」を、どう観測するか

政策形成では、有識者会議や専門家会議が設けられることがある。

もちろん、専門的な知識を政策に取り入れること自体は必要である。

問題は、結論だけを「有識者の意見」として受け取ってしまうことだ。
観測制民主主義では、さらに問いを進める。
誰を有識者として選んだのか。

なぜ、その人が選ばれたのか。
どのような専門性を持っているのか。
どのような利害関係があるのか。
異なる見解を持つ専門家は存在しなかったのか。

存在したなら、その意見はどのように扱われたのか。

そして最終的な政策には、どの意見が反映されたのか。

つまり、観測対象は「有識者の結論」だけではない。
有識者が選ばれ、
意見が集められ、
政策へ反映されるまでの工程そのもの
なのである。

「何を見なかったのか」も観測する

ここで、もう一つ重要な視点がある。

政策形成では、「何を調べたのか」だけではなく、
「何を調べなかったのか」も重要になる。

・都合の良いデータだけを採用していないか。
・反対意見を十分に検討したのか。
・別の政策手段を比較したのか。
・政策によって不利益を受ける人々の声を拾ったのか。
・短期的な効果だけでなく、長期的な副作用を検討したのか。

こうした「欠けている情報」を
観測できなければ、政策形成の全体像は見えてこない。

悪意を証明する必要はない

ここで大切なのは、最初から
「政府に悪意がある」と考える必要はないということだ。
むしろ、
悪意の有無とは別に、工程を公開すればよい。

「なぜ、この制度になったのですか?」
「何を根拠にしたのですか?」
「他にどんな選択肢がありましたか?」
「なぜ、その選択肢を採用しなかったのですか?」
「どんな副作用を想定しましたか?」
「その結果を誰が検証するのですか?」

これらの問いに答えられる制度ならば、
善意であっても、悪意であっても、国民は検証できる。

重要なのは、人を信用することではなく、
工程を確認できることである。

政策を「ブラックボックス」にしない

民主主義において、選挙は重要である。

しかし、選挙と選挙の間にも、国家は動いている。

政策が作られ、制度が改正され、予算が組まれ、
新しい行政組織が作られる。

だから、国民が観測できる範囲を
「国会での採決」だけに限定してはいけない。

政策形成の上流まで、観測可能にする。

誰が問題を設定したのか。
誰が情報を選んだのか。
誰が政策案を作ったのか。
誰が修正したのか。
誰が最終判断したのか。

そして、その政策によって誰が利益を受け、
誰が負担を負うのか。
これらを追跡できるようにする。

観測制民主主義の新しい回路

ここまで来ると、
観測制民主主義の回路は、③より一段深くなる。

国民の現実

【観測】

【意味の抽出】

【政治への翻訳】

【政策形成】

【制度設計】

【法案・予算・行政】

【社会への出力】

【再観測】

【必要なら修正】

そして、この回路の途中に、もう一つの観測点を置く。
「その政策は、どのような工程で作られたのか?」
これを国民が確認できるようにするのである。

「選ぶ民主主義」から「観測する民主主義」へ

これまでの民主主義は、
国民が政治家を選ぶことを中心に考えられてきた。

しかし、これから必要なのは、
それだけではないのではないか。

1.国民が政策形成の工程を観測する。
2.政策の根拠を確認する。
3.複数の選択肢を比較する。
4.政策の結果を確認する。
5.そして、必要なら修正を求める。

つまり、民主主義を「選ぶ制度」から、
「観測し続ける制度」へ変えていくのである。

政策形成の「見える化」は、権力抑制になる

政策形成の工程が見えるようになれば、
権力を抑制することにもつながる。

なぜなら、政策を作る側が、
常に「その判断は、後から国民に検証される」と
意識するようになるからだ。

これは政治家を疑うということではない。

行政を敵視することでもない。

権力を、透明な環境の中で働かせる。

それだけである。

そして、透明性が高ければ高いほど、
政策に対する国民の信頼もまた、検証可能なものになる。

観測制民主主義④の問い

ここで、次の問いが生まれる。

「政策形成の工程を、国民は実際に監査できるのか?」

観測できるだけでは十分ではない。

情報が公開されていても、
国民が比較できず、
異議を申し立てることもできなければ、
それは単なる情報公開にとどまる。

観測した結果を、政治へフィードバックできなければならない。

つまり、次に考えるべきなのは、
「国民による政策監査」
である。

観測するだけではない。
国民が、政策形成の工程を監査できる民主主義。
その仕組みは、どう設計すればよいのか。

それを、次回考えてみたい。

――観測制民主主義⑤へつづく。

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