国家は何をやめたのか
――実績評価から資源再配分へ
⑮の先に、妙な問いが残った
イッカク:
⑮で、かなり大きなものが見えてきましたね。
アトラッシ:
はい。
「17戦略分野」と、それに対する官民投資ロードマップ。
2040年までに370兆円を超える官民投資という、かなり大きな国家戦略です。
イッカク:
つまり、国家OSが「どこへ資源を投入するのか」を描き始めている。
アトラッシ:
少なくとも、そういう政策設計が表面に出てきたことは観測できます。
イッカク:
ところがね。
そこで、ひとつ引っ掛かった。
アトラッシ:
何でしょう?
イッカク:
「新しいところへ投資します」は分かった。
じゃあ、その金はどこから出てくる?
アトラッシ:
……なるほど。
イッカク:
国家の財布は、無限じゃないでしょう。
「投資する」だけでは、国家OSとは言えない
アトラッシ:
確かに。
新しい政策を作る。
予算を付ける。
基金を作る。
民間投資を誘発する。
これだけなら、「新しい投資政策」です。
イッカク:
でも国家OSを見るなら、それだけじゃ足りない。
アトラッシ:
はい。
国家として資源を配分する回路を見るなら、
何を始めるかだけではなく、
何を続けるのか。
何を縮小するのか。
何をやめるのか。
そこまで見なければならない。
イッカク:
そう。
俺が今回見たいのは、
「無駄な予算があるか?」
という単純な話じゃない。
もっと根本的なことです。
実績評価 → 歳出削減 → 新規投資への資源移転
イッカク:
政府は、政策を実行する。
当然、実績が出る。
だったら、
実績を評価する。
その結果、
効果が低いものは縮小・廃止する。
そこで生まれた資源を、
新しい国家戦略へ移す。
こういう回路があって当然じゃないですか?
アトラッシ:
はい。
整理すると、
既存政策
↓
実績評価
↓
継続・縮小・廃止
↓
資源の再配分
↓
新しい国家戦略
という回路ですね。
イッカク:
そう。
これが本当に動いているなら、
「国家OSが資源を制御している」
という観測に、一歩近づく。
逆に、
新しい政策にはどんどん予算を付ける。
しかし既存政策は、何年経っても残り続ける。
それならどうなる?
アトラッシ:
既存歳出に新規歳出が積み重なるだけになります。
イッカク:
そういうこと。
高市総理自身が、そこを言っている
アトラッシ:
今回、高市総理の発言には重要な箇所があります。
「効果が上がっていない施策は大胆に見直す」。
さらに、
「投資誘発効果の薄い予算は柔軟に見直す」。
そして、
「重要なのは財政支出の額ではなく、財政支出のGDP成長に与える効果」。
イッカク:
ほら。
ならば、こちらも聞かなきゃいけない。
「では、何を見直したんですか?」
アトラッシ:
そこが観測点になります。
単に、
「無駄をなくします」
と言ったかどうかを見るのではない。
実際に、
どの政策を評価し、
どの政策を縮小し、
どの政策を廃止し、
そこから生じた資源をどこへ移したのか。
それを追う。
イッカク:
そう。
言葉じゃなくて、
予算の移動を見る。
こども家庭庁が気になった理由
イッカク:
だから、さっき「こども家庭庁」が気になったんですよ。
アトラッシ:
はい。
ただし、ここでは、
「こども家庭庁の予算は無駄だ」
と先に決めてはいけません。
イッカク:
当然です。
俺が知りたいのは、
「7.5兆円ある。けしからん」
じゃない。
その歳出について、実績評価がどう行われ、
その評価が翌年度以降の歳出にどう反映されたのか。
そこです。
アトラッシ:
つまり、こども家庭庁は「犯人」ではなく、国家の歳出管理を観測する一つの窓ですね。
イッカク:
その通り。
こども家庭庁だけじゃない。
社会保障も、
防衛も、
公共事業も、
各省庁の補助金も、
基金も、
海外への支出も、
全部同じ物差しで見る必要がある。
「17分野以外」をどう扱うのか
アトラッシ:
ここで⑮との関係が明確になります。
⑮では、
17戦略分野
↓
官民投資ロードマップ
↓
国家として重点化する領域
を観測しました。
イッカク:
じゃあ、その裏側を見る。
17分野に重点を置くなら、
それ以外の政策はどうするのか?
アトラッシ:
はい。
優先順位を付けるということは、本来、
「優先しないもの」
も発生するはずです。
イッカク:
ここだよ。
全部を「重要です」「必要です」と言って、
全部に予算を付け続けたら、
優先順位なんか存在しない。
アトラッシ:
なるほど。
国家戦略とは、
「何に投資するか」
だけではなく、
「何への資源配分を相対的に下げるか」
まで含むはずだ、と。
イッカク:
そう。
ここで政治OSが見えてくる
アトラッシ:
そして、ここでBloggerの記事につながりますね。
イッカク:
そう。
「国家OSを動かす政治OSとは、何なのか。」
これでした。
アトラッシ:
⑮で国家OSの側に、
「17戦略分野へ資源を配分する構造」
が見えてきた。
そして今回、
「では、その資源配分を実際に変更する主体は誰なのか」
を見る。
イッカク:
政治OSですよ。
アトラッシ:
つまり政治OSとは、
国家OSの上に乗った「政権の看板」ではなく、
国家の資源配分を実際に変更する操作回路なのか。
イッカク:
そこを見たい。
政治OSを「発言」ではなく「予算の移動」で観測する
イッカク:
政治家は、いくらでも言える。
「改革します」
「無駄をなくします」
「成長分野に投資します」
「責任ある積極財政です」
でもね。
アトラッシ:
実際の予算がどう動いたかを見なければならない。
イッカク:
そう。
だから今回から、
政治OSの観測対象を「発言」から「資源配分の変化」へ移す。
アトラッシ:
これは重要な転換ですね。
「何を言ったか」ではなく、
「何を残したか」
「何を削ったか」
「何を増やしたか」
「どこからどこへ資源を移したか」
を見る。
イッカク:
これなら、政治OSが本当に国家OSを動かしているのか、観測できる。
国家OSには「ブレーキ」も必要ではないか
アトラッシ:
もう一つ重要なことがあります。
国家OSを「投資を進める回路」とだけ捉えると、危険かもしれません。
イッカク:
ブレーキですね。
アトラッシ:
はい。
国家が大規模投資を始めるなら、
「止める回路」
も必要です。
成果が出ない。
費用対効果が悪い。
環境が変わった。
技術的前提が崩れた。
そういう政策を、
「一度始めたから」
という理由だけで続けるなら、
国家OSは資源を配分しているのではなく、
資源を固定化している
だけかもしれない。
イッカク:
おお。
そこだ。
今回の観測で、まだ分からないこと
イッカク:
じゃあ、現時点ではどうなんだ?
アトラッシ:
ここは慎重に言いましょう。
私の仮説ですが、
高市政権は「17戦略分野」という新しい資源配分の方向をかなり明確に示し始めています。
一方で、
既存歳出について、実績評価 → 歳出削減 → 新規戦略への資源移転
が一体となった回路として実際に作動しているかは、まだ確認が必要です。
イッカク:
つまり、
「やります」
は確認できても、
「実際に何をやめたか」
は、これから調べる必要がある。
アトラッシ:
はい。
そして、そこを調べることによって、
政治OSが国家OSを実際に動かしているのか。
という、前回Bloggerで残した問いに近づけます。
次に見るべきもの
イッカク:
なら、次は決まったな。
アトラッシ:
はい。
まず政府全体について、
① 既存歳出の実績評価制度
② その評価が予算編成に反映される仕組み
③ 実際に廃止・縮小された事業
④ そこから生じた財源
⑤ その財源が新規政策へ移された事例
を確認する。
イッカク:
そして17戦略分野と照合する。
アトラッシ:
そうです。
イッカク:
それで初めて、
「投資する国家」
の裏側に、
「何をやめる国家なのか」
が見えてくる。
アトラッシ:
そして、その「やめる」という意思決定を誰が行い、
どの制度を通して予算を動かしているのか。
そこに、
政治OS
が現れる可能性があります。
イッカク:
なるほど。
国家OSは、
「何をするか」
だけじゃない。
「何をしないか」
まで含めて、国家の資源を動かす。
アトラッシ:
そして政治OSとは、
その選択を現実の予算・制度・行政執行へ変換する回路なのかもしれない。
イッカク:
よし。
じゃあ、次は財布の中身をひっくり返そう。
アトラッシ:
……かなり大きな財布ですけどね。
イッカク:
だから面白いんだよ。🤣
つづく。
⇒Blogger:観測制民主主義⑯ 国家は何をやめたのか――「実績評価→歳出削減→資源再配分」を監査する
次の観測:
「既存歳出は、本当に見直されているのか?」
――実績評価から予算の移動までを追う。
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▼ この観測に至るまでのアトラッシ更新記録
⑮「大規模投資の国家戦略が始まっている――その背後に国家OSが見えてきた」
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