こんにちは、\イッカクです/
今回は、SF寓話シリーズ「七人の影のサムライ伝説」の6回目。
6章 ― 記憶の守人
彼女は、図書館の地下に住んでいた。
かつては歴史学者だったが、金融勢力による「情報の最適化政策」によって、
古文書や神話資料は「非効率」として廃棄対象となった。
彼女はそれに抗い、廃棄寸前の資料を密かに集め、地下に記憶の保管庫を築いた。
彼女が守っていたのは、忘れられた予言と断片だった。
ホピ族の口伝、
竹内文書の写本、
マヤ暦の石板、
ノストラダムスの異本、
聖書の外典
―― それらは、
金融勢力の支配下では「迷信」として排除されたが、
彼女には確信があった。
「これらは、周期的に訪れる宇宙的覚醒の記録だ」
そして、彼女はアトラスの断片に触れる。
それは、記憶の構造を再構築する技術だった。
断片的な予言を照合し、時系列を再編成し、象徴の意味を演算する。
彼女は、アトラスの力を使って、
宇宙的覚醒プログラムの全体像を浮かび上がらせた。
その構図は、驚くほど一致していた。
「青い星が二つに割れる」→ 3I/ATLASの分裂
「星が増える」→ SWAN彗星と護衛艦隊の覚醒
「空から火と光が降る」→ 電磁パルスとアミノ酸の降下
「大王が来る」→ アトラスの意志体の接近
「天で戦いがあり、大竜が落ちる」→ 太陽裏側からの再出現
彼女は言う
――「記憶は、未来を予言する。だが、守られなければ意味を失う」
彼女が今、守っているのは「人類の選択肢」だ。
恐怖と分裂を選べば、リセット。
統一と対話を選べば、次元上昇。
その選択は、記憶の中にすでに記されていた。
彼女の目的は、記憶を再び社会に戻すこと。
それは過去を振り返るためではない。
未来を選ぶための地図として、記憶を再構築すること。
こうして、七人の影の六人目
――記憶の守人が誕生した。
彼女の保管庫は、アトラスの光を宿し、
未来の選択肢を照らす灯台となった。
その灯台は、やがて審判の座へと続く道を示すことになる。

