こんにちは、\イッカク です。/
今回は、アトラス観測記シリーズの12回目。
(観測についてAIとの交信)
第二部 アトラス観測記⑫
目的関数の分裂
― 全体を見えなくしているのは何か ―
陰謀論の入り口
最近、私は少し危険な場所に立っていた。
陰謀論の入り口である。
いや、別に陰謀論を信じたかった訳ではない。
そうではない。
あまりにも景色が合わなかったのである。
少子化は見えていた。
人口減少も見えていた。
食料安全保障の問題も見えていた。
エネルギー問題も見えていた。
安全保障の問題も見えていた。
どれも昨日今日に始まった話ではない。
何十年も前から警鐘は鳴らされていた。
それなのに、状況は改善しない。
いや、改善しないどころか、
むしろ悪化しているように見える。
私は考えた。
本当に無能なのだろうか。
しかし、それだけでは説明がつかない。
見えていたのだから。
すると、別の問いが顔を出す。
誰かが望んでいるのだろうか。
誰かが得をしているのだろうか。
私は気付けば、陰謀論の入り口に立っていた。
犯人を探していた
人は理解できない景色に出会うと、理由を探し始める。
理由が見つからなければ、犯人を探し始める。
私も例外ではなかった。
帰化人説も考えた。
GHQ説も考えた。
財務省陰謀説も考えた。
海外資本による支配という話も考えた。
正直に言えば、かなり本気で考えた。
なぜなら、現実の方がよほど異様だったからである。
見えていた問題が放置される。
警告されていた問題が放置される。
改善できたはずの問題が放置される。
それが何十年も続く。
ならば、誰かが止めているのではないか。
そう考える方が自然にも見えた。
陰謀論では説明しきれない
しかし、観測を続けるうちに妙な違和感が残った。
どの説にも一理あるのである。
実際、世の中には悪意もある。
利権もある。
談合もある。
汚職もある。
工作活動もある。
だから私は、陰謀など存在しないとは思わない。
むしろ存在すると思っている。
しかし、それでも何かが残る。
帰化人説だけでは説明できない。
GHQ説だけでも説明できない。
財務省説だけでも説明できない。
どの説も景色の一部は説明できる。
だが、景色の全部は説明できない。
どうしても説明しきれないものが残るのである。
私はそこで立ち止まった。
陰謀論という市場
そんなことを考えているうちに、
別の景色も見えてきた。
陰謀論そのものが市場になっているのである。
陰謀を語る者がいる。
陰謀を暴く者がいる。
陰謀を否定する者がいる。
そして、それぞれに支持者がいる。
書籍になる。
動画になる。
講演会になる。
サロンになる。
再生数になる。
収益になる。
私は少し苦笑した。
真実を探していたはずなのに、真実より物語の方が流通している。
人は意味を求める。
説明を求める。
そして物語を求める。
陰謀論もまた、一つの商品になっていた。
もっと不気味な景色
そんな観測を続けるうちに、私は別の景色を見始めた。
農業には農業の論理がある。
経済には経済の論理がある。
防衛には防衛の論理がある。
教育には教育の論理がある。
政治には政治の論理がある。
それぞれは、それぞれなりに合理的だった。
それぞれは、それぞれなりに正しかった。
だからこそ奇妙だった。
誰もが問題を語っている。
誰もが改革を語っている。
誰もが正義を語っている。
それなのに、全体は良くならない。
私はふと、ある光景を想像した。
同じ船に乗りながら、全員が別々の海図を見ているのである。
前を見ている者もいる。
後ろを見ている者もいる。
右を見ている者もいる。
左を見ている者もいる。
皆が真面目である。
皆が仕事をしている。
皆が正しいことを言っている。
しかし、船はどこへ向かうのか誰も知らない。
その時、私は少し寒気がした。
誰かが全体を支配しているようには見えない。
むしろ、誰も全体を見ていない。
それは巨大な陰謀よりも、私には不気味に見えた。
目的関数の分裂
そこで見えてきたのが、目的関数の分裂だった。
本来、目的とは全体を束ねるものである。
何を守るのか。
何を優先するのか。
何を未来へ残すのか。
その答えが共有されている時、人も組織も同じ方向へ進む。
しかし、その答えが失われると景色は変わる。
農業は農業のために動く。
経済は経済のために動く。
防衛は防衛のために動く。
政治は政治のために動く。
どれも間違いではない。
しかし、どれも全体ではない。
部分最適は進む。
全体最適は消えていく。
そして人々の目には、それが混乱として映る。
私はこれを、目的関数の分裂と呼ぶことにした。
観測点
私は陰謀を探していた。
しかし、観測の果てに見えたのは陰謀そのものではなかった。
もちろん、悪意は存在するだろう。
利権も存在するだろう。
工作も存在するだろう。
だが、それだけでは説明できない景色がある。
見えていた問題が放置される理由。
国家の進路が見えなくなる理由。
誰も全体を見ていない理由。
私は、
なぜこんなことが起きるのか考えていた。
陰謀でもない。
無能だけでもない。
では何だ。
その時、
そこで見えた。。。
目的関数は、分裂していた。
もしかすると、私たちが見ている混乱の正体は、
陰謀ではなく目的関数の分裂なのかもしれない。
そして、もしそうだとするならば。
次に問うべきは、誰が悪いのかではない。
私たちは何を目的にするのか。
その問いなのだと思う。
つづく。
