こんにちは、\イッカク です。/
今回は「現象誤認を解く──事実から考える日本の現在地」シリーズ2回目。
※本稿は特定の政策・政党・思想への支持や批判を目的としない。
本稿は、現在起きている「物価高」という現象について、
事実と構造を切り分け、誤認を避けるための思考整理を行うものである。
同意や反対を求めるものではなく、
構造をどう読むかという思考手順の提示として記す。
まず現象を誤認しない
物価高の正体──原因は世界か、日本の設計か
「物価高は世界的な現象だ」
この説明は、現在ほぼ常識のように流通している。
エネルギー価格の上昇、ウクライナ戦争、物流コスト、円安――
確かに、世界的要因は存在する。
しかし、ここで一度立ち止まる必要がある。
同じ世界情勢の中で、なぜ日本だけがここまで生活に直撃しているのか。
これが、本稿の出発点である。
1. まず確認すべき「現象」
最初に、評価や原因探しの前に、現象そのものを確認する。
現在、日本で起きているのは次のような状態だ。
食料品・日用品の継続的値上げ
光熱費の高止まり
実質賃金の長期的低下
可処分所得の減少
重要なのは、
物価が上がっているだけでなく、生活が苦しくなっているという点である。
「物価高」ではなく、
物価上昇に耐えられる設計になっていない
という現象が起きている。
2. 世界要因は「引き金」であって「全原因」ではない
確かに、世界的なインフレ圧力は存在する。
エネルギー価格の変動
国際物流の不安定化
地政学リスク
しかし、同じ外圧を受けても、
各国の生活への影響は大きく異なる。
これは、
国内の制度・賃金・税制・補助設計の違い
によって吸収力が異なるためである。
つまり、
世界要因は「原因の一部」であり、結果の大きさを決めるのは国内設計である。
3. 日本特有の脆弱な設計
日本の物価高が生活直撃になる理由は、複合的だが、代表的なものは以下である。
賃金が上がらない構造
消費税という逆進性の強い税
社会保険料の固定負担
生活必需品への価格転嫁
これらはすべて、
「平時」には見えにくいが、
外圧がかかった瞬間に一斉に表面化する。
その結果、
物価高=即・生活苦
という状態が生まれる。
4. 「世界が悪い」という語りの危うさ
「世界的に仕方ない」という説明は、
一見もっともらしい。
しかし、この語りには一つの作用がある。
国内の設計を検証しなくてよくなる
誰も責任を負わなくてよくなる
改善の議論が止まる
現象の一部だけを原因として固定すると、
構造的な問題は不可視化される。
これは、意図せずして
問題を長期化させる。
5. アトラス理論による非評価的整理
ここで、評価を加えず、構造だけを整理する。
Intention(根源)
国民生活をどの程度守るのか
変動リスクを誰が引き受けるのか
Information(設計)
税制
賃金決定構造
補助・減免制度
エネルギー政策
Imagination(現象)
「世界的物価高」という説明
家計の逼迫
将来不安の拡大
この三層が接続していない場合、
現象だけが先行し、
原因が常に外部に押し出される。
これはアトラス理論上、
乱列状態である。
6. 問いを立て直す
ここで、問いを置き直す。
物価高は避けられなかったのか
生活への影響は軽減できなかったのか
誰がリスクを引き受ける設計だったのか
これらは、
支持・批判以前の問いである。
おわりに:現象誤認を避けるために
物価高を「世界のせい」で終わらせることは容易だ。
しかしそれは、
日本社会の設計を点検する機会を放棄する
ことでもある。
本稿は結論を提示しない。
ただ、
私たちは何を現象として見ているのか
その一点を誤認しないための、
事実チェック編として、ここに置く。
では、また。
