こんにちは、\イッカクです/
今回は「理想が制度に変わると、
人間性を弾圧する」論考シリーズの3回目です。
第3章 改革の吸収構造
──反抗の制度吸収
あなたは、何かを変えようとしたことがありますか?
職場の理不尽、教育の矛盾、政治の不誠実
──それらに対して、声を上げたことはありますか?
そして、その声が「改革」として制度に吸収され、
やがて何も変わらなかった経験はありませんか?
この章では、「改革」という理想が制度に吸収され、
反抗が制度の一部として無力化される構造を見ていきます。
改革とは、本来、制度の外からの問いかけです。
「このままでいいのか」
「誰が傷ついているのか」
「何が見落とされているのか」
──そうした声が、制度に届き、再設計を促す。
しかし、制度はその声を吸収します。
「改善提案」
「意見募集」
「協議会」
「有識者会議」
──そうした形式の中に、反抗の声は取り込まれます。
そして、制度の中で
「検討されたこと」になり、やがて「対応済み」とされる。
反抗は、制度の一部として処理され、
制度の正当性を補強する材料になってしまうのです。
たとえば、
教育現場で「校則が理不尽だ」という声が上がったとします。
生徒や保護者が署名を集め、
教師が議論を促し、
メディアが報じる。
すると、教育委員会は「校則見直し委員会」を設置し、
「有識者の意見」を取り入れ、
「一部改訂」を行う。
しかし、根本的な構造
──誰が決定権を持ち、誰が沈黙を強いられているか
──は変わらない。
改革は制度に吸収され、
反抗は「対応済み」として無力化される。
政治の世界でも同様です。
市民が声を上げ、
デモを行い、署名を集めても、
制度は「意見を受け止めた」として、形式的な対応を行う。
「検討中」
「予算の都合」
「段階的導入」
──そうした言葉が並び、反抗の声は制度の中で処理される。
そして、制度は「市民の声に応えた」として、
むしろ正当性を強化する。
この構造は、制度が理想を掲げながら、
反抗を吸収することで、
変化を回避する仕組みになっていることを示しています。
制度は、反抗を拒絶するのではなく、吸収する。
そして、吸収された反抗は、
制度の一部として無力化される。
あなたがもし、
何かを変えようとして声を上げたことがあるなら
── そして、その声が「検討されたこと」になり、
何も変わらなかったなら
── それは、あなたのせいではありません。
それは、制度が反抗を吸収し、
無力化する構造の中で起きたことなのです。
この構造は、
労働、教育、政治、医療──あらゆる制度に共通しています。
制度は理念を掲げながら、
反抗を吸収し、
沈黙を強制する。
そして、形式だけが残り、声は消えていく。
では、改革とはどうあるべきなのでしょうか。
制度の外から声を上げること。
そして、制度がその声を吸収する前に、
記録し、共有し、再設計の根拠として残すこと。
制度が、反抗の声を「処理」するのではなく、
「再構築の起点」として受け止める構造を持っていれば、
改革は人間に戻ることができます。
この章では、「改革」という理想が制度に吸収され、
反抗が制度の一部として無力化される構造を検証しました。
次章では、
「沈黙と記録されなかった声」が
制度の空白に埋もれていく構造を考察します。
そして、私たちは問い続けることになります
──制度は、反抗の声を記録する構造を持っているか?と。
つづく。

