第2章 二重の外圧と文化断絶──急進フェミニズムの思想的基盤を問う・・・境界を越えるフェミニズム:急進思想の可能性と限界

論考:境界を越えるフェミニズム:急進思想の可能性と限界

第2章 二重の外圧と文化の断絶 ──急進フェミニズムはどこから来たのか

みなさんは、急進フェミニズムという言葉を
聞いたことがありますか?
これは、単なる男女平等の運動というよりも、
もっと深い背景を持った思想なんです。
実は、日本が経験してきた二度の大きな外圧
──明治維新と戦後のGHQによる改革
──が、この思想の土台をつくっていると言われています。

この章では、そうした歴史的な流れをたどりながら、
急進フェミニズムがどんな文化的土壌に根づいてきたのかを、
一緒に考えてみたいと思います。

明治維新──「近代化」の名のもとに失われたもの

まずは、明治維新から見ていきましょう。
一般的には「文明開化」や「近代化」として語られることが多いですが、
実際には薩長の官軍による武力クーデターでした。
その背後には、イギリスなどの欧米列強の影響もありました。

天皇を「御旗」に掲げることで、
武士階級は解体され、
中央集権的な国家がつくられていきました。
これによって、日本独自の秩序
──武士道や家制度、地域の共同体など──が
否定されてしまったんですね。

そして、教育や法律の仕組みには、
西洋の思想──啓蒙主義や個人主義、キリスト教的な価値観
──が導入されました。
この時点で、日本は制度の根っこを外からの価値観に
委ねるようになったのです。(俗に言う西洋かぶれ)

戦後の改革──制度は変わったけれど、心は置き去りに

次に、戦後のGHQによる改革です。
憲法の改正や教育制度の見直し、
天皇制の象徴化など、さまざまな変化がありました。
これらは「民主化」と呼ばれましたが、
実際には日本人の精神的な支柱
──歴史や道徳、宗教など──が
沈黙させられた時代でもありました。

その結果、
日本は「語られない国家」になってしまったんです。
制度はあるけれど、
それを支える文化や精神が空白になってしまった。
そんな状態では、
社会の中で合意をつくることも
難しくなってしまいますよね。

急進フェミニズム──空白に入り込んだ外来思想

こうした文化的な空白に入り込んできたのが、急進フェミニズムです。
この思想は、
欧米の啓蒙思想やマルクス主義、
ポスト構造主義などを背景にしています。
家父長制の否定や性の自由、制度の再構築などを主張する
急進フェミニズムは、日本の伝統的な秩序に対して、
さらに強い破壊力を持っているんです。

日本では、この思想が「文化的侵略」として
働いてしまうこともあります。
共同体や世代のつながり、
自然との調和といった、
目に見えないけれど大切な秩序が否定されてしまうからです。

日本的な秩序との摩擦──制度だけが残る社会へ

日本の文化は、制度よりも「空気」や「間」、
そして世代間のつながりと自然とのつながりによって
支えられてきました。
それは、明文化されていなくても、
確かに存在する秩序です。
急進フェミニズムは、そうしたものを「抑圧」と見なし、
排除しようとします。

その結果、
文化的な根が失われて、
制度だけが残る社会になってしまうんですね。
制度はあるけれど、そこに魂がない
──そんな空洞感が、現代日本の不安定さに
つながっているのかもしれません。

文化の再生と制度の再設計──連動することで社会は息づく

これまで見てきたように、
日本は二度の外圧によって文化的な断絶を経験してきました。
急進フェミニズムは、
その断絶の延長線上にある思想であり、
制度の中に深く入り込んでいます。

ですが、私たちが目指すべきは、
単なる制度の修正ではありません。
まずは、自分たちの文化
──世代を超えたつながりや自然との調和、
共同体の知恵──を見つめ直し、
そこに根ざした価値観を再生することが大切です。

そして、その文化の再生に見合った制度の再設計を行うことで、
はじめて制度は生きたものになります。
文化と制度が連動することで、
教育は単なる知識の伝達ではなく、
価値観や生き方を育む場になります。
社会もまた、制度に支えられながら、
文化の息づかいを感じられるものへと変わっていくでしょう。

制度は文化の器であり、文化は制度の魂です。
この両者が響き合うことで、
私たちの社会は、
過去と未来をつなぎながら、
文化と制度が響き合う社会の
かたちで息づいていくのではないでしょうか。

つづく。

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