こんにちは、\イッカク です。/
今回は、期日前投票に、
どれだけ有権者数全体の何割が投票に行ったのか?
— アトラス理論・実例編 —
はじめに──なぜ「引っかかる」のか
「期日前投票が約50%」という報道表現は、
数字としては間違っていないことが多い。
にもかかわらず、
多くの人に直感的な違和感を生む。
この違和感は感情論ではなく、
分母の切替が可視化されていないことから生じる、
構造的な反応である。
本稿では、評価を排し、
数理→制度設計(OS)→社会的現象の順に整理し、
この違和感の正体を明らかにする。
1. 数理の整理──数字は合っている
まず事実関係を固定する。
有権者全体:100
投票率:約56
不投票:約44
期日前投票(有権者比):約26
当日投票(有権者比):約30
ここから導かれる二つの「正しい」割合は次の通り(※計算式を明示する)。
期日前投票(有権者比):約26%
(期日前投票者数 ÷ 有権者総数)期日前投票(総投票者比):約46%(≒「約半分」)
(期日前投票者数 ÷ 総投票者数)※総投票者数 = 有権者総数 × 投票率 ≒ 100 × 56%
よって
26 ÷ 56 ≒ 0.46(46%)・・・約50%
どちらも計算上は成立する。数字そのものは破綻していない。
2. 違和感の核心──分母が語られていない
違和感の正体は、どの分母で語っているのかが省略される点にある。
「約50%」は 総投票者 を分母にした比率
多くの受け手は無意識に 有権者全体 を分母に想定
この瞬間的な分母ジャンプが、
認知上のズレを生む。
説明が不足しているのではなく、
前提が切り替わったこと自体が見えないため、
受け手の理解が追いつかない。
3. 制度OSの視点──補助が主に近づいた
期日前投票は本来、
投票日当日に投票できない人のための補助制度として設計された。
しかし現状では、
期日前(約26)
当日(約30)
が拮抗し、補助が主制度に近接している。
これは思想の変化ではなく、
運用合理性(分散・前倒し・混雑回避)による設計の帰結である。
4.「44%の不在」──語られない最大の事実
報道の焦点は
「投票者の内訳」に集まりがちだが、
構造的に最も重い事実は別にある。
有権者の約44%が、制度に接続していない
この不在は、制度OS上では「無影響」として処理される。
結果として、議論は接続済みの
56%の最適運用(期日前か当日か)に集中し、
不在そのものは問いから外れる。
5. なぜ「約50%」が強調されるのか
分母を総投票者に置けば、
「約半分」という表現はインパクトがあり、理解しやすい。一方で、
有権者全体で見た実像(26%)
不在44%という前提
は背景に退く。
これは意図の有無に関わらず、
制度の関心が『参加拡大』より『参加者管理』に寄っている
ことの表れでもある。
6. 結論──違和感は正しい
※補足(外部参照)
本稿では扱わないが、
派遣・委託など力関係が非対称な現場で、
期日前投票をめぐる確認や干渉が起きうる問題については、
別稿として整理し、外部リンク参照とする。
ここでは事実認定と制度論を切り分け、一般論としての構造のみを扱った。
「約50%の期日前投票」という表現は、
数学的には成立する
しかし前提(分母)を明示しない限り、受け手に誤解を生む
このとき生じる違和感は、感情ではなく構造感覚である。
本当に問われるべきは、
期日前が何%か
ではなく、
なぜ44%が制度に接続していないのか
その不在を、制度はどう扱っているのか
である。
違和感は、数字のミスではなく、語られない前提への警告なのだ。
では、また。
